五十嵐畳店(千葉県) 息子ブログ

2022年8月31日

【い草 畳 違い】@農林水産省 畳の研修に参加しました。いい畳と、そうでない畳の違いについて 

最終更新: 2023年11月16日

い草 畳 違い いぐさの畳の違いとは?

本日は、農林水産省 会議所にて畳の研修に参加してきました。

本日の研修は3時間あり、

すべての内容をお伝えすることは難しい為、

概要をお伝えできればと思います。

特にみなさまからよくご質問をいただく、

価格が高い畳と、安いい草 畳 違いについてご紹介します。

あくまで概要の話になります。

いぐさ作りは、本当に奥が深く、難しく、

畳(いぐさ)のすべてを語ることは恐れ多いです。

できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく、

お伝えしていければと思いますが、

今回ご紹介する内容は、すべての畳屋さんが

ご存知の内容ではなく、マニアックな内容です。

滅多にない機会なので、畳のことを知りたい!

そんな方は、ぜひ読み進めていただければ嬉しいです。

価格が高い畳とは?

価格が高い畳と安い畳には、

畳を使う上で、大きく分けると3点違いがあります。

①畳の見ため

②畳の耐久性

③畳を替えた後の退色(色の変化)

お店によっても値決めが違いますから、

一概に言えませんが、

一般的に価格が高い畳の特長は上に記載した3点になります。

この3点を加点し、総合点の高い畳が、

価格が高い、いい畳になります。

すなわち、価格が高い畳の方が、

「畳の見ためが良く、耐久性もあり、畳が退色した後の色味がキレイ」ということになります。

逆を言えば、上に記載した3点について総合点の低い畳が、

価格の安い畳になります。

では、

①畳の見ため

②畳の耐久性

③畳を替えた後の退色(色の変化)

この3点に、なぜ差が出てくるかについてご紹介します。

①畳の見ためについて

畳の見ために差が出てくるのは、

いぐさの特長・織られ方・育て方にあります。

見ため(1)いぐさの特長

まず、畳の表面は、いぐさを何千本使って織られて作られているということを

ぜひ覚えてください。

そして、こちらがいぐさの写真なのですが、

写真を見ると、どのいぐさも同じ色のように見えますが、

植物ですから、全く同じ色ではありません。

また、生育状況によっても、

いぐさの長さ・太さ・色味などが変わってきます。

ここに、いぐさの見ために差が出る理由になっています。

いぐさの生育状況と特徴を大きく分けると、3つに分けられます。

①高齢者:いぐさ1本が太く、濃い緑色で、茶色っぽい部分も

②赤ちゃん:いぐさ1本が細く、明るい緑色で、白っぽい部分も

③中学生~40代:中間の太さ、緑色

価格が高い畳は、

③のいぐさを使って織られた畳になります。

③のいぐさは、1本1本の太さが比較的均一で、

色ムラも少ない傾向があるため、

見ためがいい畳と言われています。

価格が安い畳ほど、

①高齢者と②赤ちゃんのいぐさを使って織られた畳になります。

=高齢者のいぐさは太く、

赤ちゃんのいぐさは細いため、太さが均一ではありません。

また、①高齢者のいぐさは、濃い緑&茶色っぽい色、

②赤ちゃんのいぐさは、明るい緑色&白っぽい色の為、

色むらが出やすく、

見ためが良くないと言われています。

見ためが良い・悪いは個人の好みになりますので、

畳業界では、いぐさ1本1本の太さが均一&いぐさに色むらが少ない&畳の表面に

たくさんのいぐさを使用して目が詰まっている畳が

見ためのいい畳とされています。

見ための良さをイメージすると、

例えば、うどんやパスタ、そば。

たまに、細い麺が何本か混じっていませんか?

細い麺が混じっていると、見た目がよくないと感じる方もいるのではないでしょうか。

もし障子の木枠部分が、均一の太さでなく、

細い木枠や太い木枠で出来ていると、違和感を感じませんか?

見ため(2)いぐさの織られ方

いぐさの織られ方にも様々ありますが、

わかりやすいのが、

織るときに使われる糸の種類の違いになります。

いぐさを織るには、綿と麻糸があり、

麻糸の方が丈夫な糸になります。

麻糸を使って織られた畳の方が、

畳が寄れづらくなったり、波打ちが少なくなります。

価格が高い畳の方が、

麻糸を使って織られています。

価格が安い畳の方が、

綿糸が使われており、畳を長く使っていくうちに

寄れやすくなったり、波打ちやすくなります。

この波打ちが、見ために影響しています。

見ため(3)育て方

いぐさは、農家さんが作られています。

農家さんのいぐさの育て方によっても見た目が変わります。

育て方も専門性が高いお話ですので割愛させていただきますが、

いぐさを栽培するための土づくりや、草づくりなどによって、

いぐさのツヤが変わってきます。

ツヤのある畳の方が、見ための良い畳になります。

②畳の耐久性

耐久性も、いぐさの生育状況・育て方に関係してきます。

耐久性・生育状況

さきほどお伝えしたいぐさの生育状況と特徴をおさらいです。

①高齢者:いぐさ1本が太く、濃い緑色で茶色っぽい色の部分も

②赤ちゃん:いぐさ1本が細く、明るい緑色で白っぽい色の部分も

③中学生~40代:中間の太さ、緑色

価格が安い畳は、高齢者のいぐさと、赤ちゃんのいぐさが

混じっているとお話しました。

高齢者のいぐさは太く、赤ちゃんのいぐさは細いですから、

太いいぐさと細いいぐさが混じった畳になります。

太さがバラバラないぐさの畳ですと、

歩いたときに、太いいぐさの出っ張りで足に当たりやすく、

細いいぐさは比較的当たりづらく、

太いいぐさが擦れやすくなってしまいます。

そうなると、太いいぐさに負荷がかかり、

結果として、擦れやすくなってしまう=耐久性が落ちることになります。

さらに、赤ちゃんのいぐさは、成長過程のいぐさですから、

いぐさ自体の耐久性が弱いとされています。

③中学生~40代のいぐさ畳の方が

太さが均一のいぐさが使われていることが多い為、

いぐさ1本1本に負荷が分散されます。

そのため、高齢者のいぐさと、赤ちゃんのいぐさが

混じっている安い畳よりも、

③中学生~40代のいぐさ畳の方が、

表面が擦れづらく、耐久性が良いとされています。

また、いぐさの中でも背丈がある長いいぐさを使った畳表の方が、

耐久性が高い傾向があります。

耐久性・育て方

農家さんのいぐさの育て方によっても耐久性が変わります。

高齢者のいぐさ・赤ちゃんのいぐさ・中学生~40代のいぐさ、

それぞれの中にも、育て方によって、

いぐさの実入り(実の入り具合)が違ってきます。

いぐさの中が空洞ではなく、

しっかり実が詰まっていると、耐久性が良くなります。

育て方も、専門性が高いお話ですので割愛させていただきますが、

いぐさを栽培するための土づくりや、草づくり、織り方

などによっても、いぐさ1本1本の耐久性に差が出てきます。

③畳を替えた後の退色(色の変化)

新しく畳を替えた後は、青々しい色味の畳ですが、

年数が経っていくと、紅葉のように色に変化が出てきます。

この色の変化が、いぐさの生育状況からきています。

①高齢者:いぐさ1本が太く、濃い緑色で茶色っぽい色の部分も

②赤ちゃん:いぐさ1本が細く、明るい緑色で白っぽい色の部分も

③中学生~40代:中間の太さ、緑色

①~③どのいぐさも、最初は一見青々しい色味に見えますが、

年月が経つと、色の出方に差が出てきます。

特にわかりやすいのが、①高齢者のいぐさです。

このいぐさは、年数が経つと、黒くなりやすいです。

②と③のいぐさは、黒くなりづらいです。

上記の復唱になりますが、

価格が安い畳は、①高齢者と②赤ちゃんのいぐさを使った畳です。

畳は、数千本のいぐさを織ってできたものです。

安い畳は、この数千本のいぐさの中に、

高齢者のいぐさや、赤ちゃんのいぐさが混じっていることになります。

すると、高齢者のいぐさは、

年数が経つと黒くなりますから、

畳の表面に黒い筋が入り、

バーコードのような模様の退色になります。

こちら↓

価格が高い畳は、③中学生~40代のいぐさが使われていますので、

退色の色味に統一感が出やすいです。

こちら↓

このように、価格が高い畳と安い畳では

年数が経った後の色味に差が出てきます。

畳を張り替えた直後よりも、

張り替えてしばらく経った方が、

色味の差が明確です。

こちらの写真は、あくまで一例です。

その年の生育状況などによっても、色味には差が出てきます。

安い畳・高い畳が、必ずこういう色味になるわけではなく、

あくまで傾向値としてご理解ください。

まとめ

価格が安い畳、価格が高い畳を使う上での違いは大きく3つ

①畳の見ため

②畳の耐久性

③畳を替えた後の退色(色の変化)

価格が高い畳の方が、安い畳よりも

見ためがよく、長持ちし、畳を替えた後の色味に統一感があります。

価格が高い畳と安い畳について、

違いはわかりましたでしょうか?

「そこまで気にしないから安い畳でいい」

「退色した後の畳を使う方が長いから、いい畳にしたい」

感じ方は、人それぞれと思います。

ただ、こうした畳の違いは、

日頃、農家さんのいぐさ栽培に対する

こだわりがあってこその差です。

今回の研修で、いぐさ農家さんのこだわりや想いを聞き、

畳屋として、違いを伝えていかなければいけないと思い、

ご紹介した次第です。

こうした畳の違いを理解していただく方が少しでも増えれば、

国産畳が存続する一助になると思っています。

少しでも参考になれば嬉しいです。

■ブログ作成元 五十嵐畳店

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